コードとハモりの関係については、前回説明しました。前回の内容はこちらを参照してみてください。
こちらで説明しましたが、ハモりのラインを考える上で、コード(の構成音)を譜面上に書き起こせるようになると非常に役に立ちます。曲のコード進行にあわせてハモりラインを作っていくことが楽に出来る様になるのです。
実際に書かなくても、コードを理解しているだけでも、パッとハモりたいときに役に立つと思います。
コードを理解していれば、ハモりを作りやすい
例えば、C→Fというコード進行を考えてみましょう。(最も簡単なコード進行ですね)
この進行に対して、「ドミソ」→「ドファラ」という音符が即座にイメージできることが重要です。とくにFが「ファラド」ではなく、ドをオクターブずらして「ドファラ」の転回型にしているところがポイントで、Cの「ドミソ」に近い構成をイメージしているのです。FをCに近い構成で捉えることで、ドはそのまま、ミはファに移行、ソはラに移行する、という進行が作れるのです。
これはあくまで例なので、C→Fくらいでは記譜する必要もないですが、実際にもっと複雑なコード進行の曲になってくると、記譜するとハモりラインが分かりやすくなることがあるのです。
コードは丸暗記しなくても良い!
ところで、今更ながら、コードって皆さん正しく知っていますか?
よく音楽系の本とかに、コード表がのっていますね、アレです。コード表を見ると膨大な数あって、それ全部覚えるの??ってなっちゃいますよね。でも、実はコードは暗記科目じゃなくて数学(=理論)なのです。構造(=公式)を理解しておけばすべてを丸暗記しなくても、コードの表記を見たら構成音がすぐ分かるようになるんです。
楽器の演奏方法で、コード弾きってよく言いますよね。あれはコード進行を見ながら、コードを構成する和音を適当にアドリブで弾くという演奏方法です。
ピアノでコード弾きする場合(僕もコード弾きをすることが多々ありますが)、CやGのような簡単なコードであれば、直感的に暗記しているので、咄嗟にその和音が弾けます。
しかし例えば、「E♭M7add9 on B♭」 のような複雑なコードの場合、咄嗟に構成する音が思い浮かばないケースが多々あります。(すべてのコードを暗記しているわけではないので)
こういう場合は、まず1拍目に「E♭」を弾いておいて、2拍目から「M7add9 onB♭」にあたる構成音を考えて弾くというようなズルをよくするのです。
頭の中はこんな感じです。
- 次のコードやばい!「E♭M7add9 on B♭」なんて咄嗟にわからないよ、どうしよう。
- とりあえず、マイナーコードじゃないから、まず「E♭」を弾き始めよう!
- よし、1拍目は「E♭」弾いたけど、2拍目どうしようかな、「on B♭」ってあるから左手のベース音は「B♭」に変えよう!
- 2拍目まで誤魔化した!3拍目は面倒くさいけど「M7add9」を弾くか~・・えっと、E♭のM7=長7度だから「D=レ」だね。add9は9度を足すって意味だから、「F=ファ」か~。「レ」と「ファ」を右手に足して弾こう!
- 3拍目でやっとコード構成音をちゃんと弾けたぞ〜〜!!
- よし、4拍目に余裕できたから、次のコードの準備をしよう〜!
・・・みたいな感じですwww
コードの構成音を考えている余裕があるときは、こんな感じですが、テンポが速かったり、コードの切り替わりがすぐ来てしまうような曲だと、こうも行かないかもしれません。そんな風に余裕がないときは、余計なことは考えずに「E♭」だけ弾いてやり過ごしてしまいます・・・。音の雰囲気はちょっと失われますが、構成音として間違ってはいないので、及第点でやり過ごせるという感じです。
ギターの場合は、コードの形(弦の抑え方)を型として覚えないといけないので、ピアノのようにはいかないかもしれないですね。
ちなみに、ハモりを上達したい人がもし楽器を始めるなら圧倒的にピアノがオススメです。上記のように鍵盤にコードをあてはめて考えやすいですし、和音の理解にも鍵盤楽器が非常に役に立つためです。
コードの見方
さて、コードの見方ですが、アルファベットと数字や記号でできていますが、これらが以下のような構造を示しているのです。①〜⑥をすべて合体して表記すると、コードが出来上がります。
上述した「E♭M7add9 on B♭」も同様です。①は「E♭」、②は(空)つまりE♭そのままの3和音となります。③は「M7」、④は「add9」ですね。最後に⑤の「onB♭」が来て完成です。
①基本の音を決める部分
コードの基本の音を決める部分です。Cであれば「ド」を基本として、その上に和音を構成していくということです。
明記していませんが、アルファベットに「#」や「♭」が付くことがあります。当然ですね。
①で基準音を決めて、②~⑤で①の上に音を相対的に積み上げていくという感じです。
②3和音を決める部分
この部分は、①の音を軸として、3和音を確定する記号になります。「C」の後に、m、sus4、dim、 aug が続かなければ、C(ドミソ)メジャーであることが確定です。これを(空)と表記していますww
mであればマイナーコード、①がCの場合はCm(ドミ♭ソ)となります。
楽譜に出てくるコードの9割は、(空)つまりメジャーコード、もしくは「m」のマイナーコードです。
メジャーコードは、長3度+短3度で構成されています。
マイナーコードは、真ん中の音が半音下がって、短2度+長3度で構成されています。
基本となる音がC~Bまで変化するだけで、3和音の構造(長3度とかの関係)は変わりません。このことを理解しておくことが重要です。
ここから下で、メジャーマイナー以外のコードを紹介していきますが、考え方は同じでどういうコード表記であっても、基本となる①の音を基準として相対的に何度の音で構成されているかを示すのが、②~④の表記です。ですので、下の説明ではすべて「C」を基本としたコードで説明します。
C以外だったとしても同じ要領で音を積み上げれば良く、「どの音から数えて」という部分の「どの音」を基本とするかが変わるだけです。
では、他のコードを紹介します。
sus4
sus4は、長短3度の変わりに4度を使うコードです。Csus4はドファソです。4度は3度への導音の性質があると以前説明しましたが、例えば、Csus4のあとはCかCmが続く場合がほとんどです。このようにコード進行することによって、不安定な音が安定へ”解決”するのです。
なお、このコードはドファソという3和音となりますが、後述する4和音コードにある7(セブンス)を足そうとすると、Csus47と”47”になって分かりづらくなっちゃいますね。ですので表記が特殊ルールとなって「C7sus4」のように前後を入れ替えて表記します。ドファソシ♭の4和音になります。
dim/aug
dim / aug も特殊なコードです。これはCでもCmでもない、つまりメジャーでもマイナーでもないコードです。Cは3和音が「長3度+短3度」で、Cmは「短3度+長3度」で構成されていますが、dimは「短3度+短3度」、augは「長3度+長3度」になるのです。楽曲中でコード進行をするにあたって、途中経過のコードとして使われることがあります。普通じゃないコードなので、ちょっとしたオシャレ感のあるコード進行になります。
③4和音コード
②までで3和音が確定しますが、4和音以上のコードの場合、この③の数字表記によって4和音以上の構成音を示します。
主要な4和音コードと表記を記載しました。これだけ覚えておけば充分だと思います。
数字はルート音(=C)からの度数を表しています。6や7はその度数の音をCの3和音に足せばよいのですが、9、11、13はテンションコードと呼ばれるコードで7(セブンス)の上に積みあがっていきます。
7(セブンス)
セブンスと呼ばれるこのコードは非常によく出てきます。シ♭を加えた不安定な響きがその直後にシ♭→ラと解決したくなり、実はC7→Fという進行によく使われます。これもF(ファ)を基準とするとFの完全4度がシ♭であり、Fとの関係においては導音の性質を持つことになります。
ハ長調(CMajorScale)においては、G7というコードが最後のコードの直前に頻出します。(C7→Fと同様の関係で、G7→Cとなるということです。)
M7(メジャーセブンス)
メジャーセブンスと呼ばれるこのコードは、非常にオシャレな響きをもっています。通常の7(セブンス)が短7度(シ♭)ですが、それと区別するために”M”を付けて表記します。
このM7のシの音と(オクターブ上の)ドが短2度という完全なる不協和音なのですが、この不協和音具合が、絶妙にオシャレで切なくもあり儚くもある響きを醸し出すのです。
テンションコード
9(ナインス)、11(イレブンス)、13(サーティーンス)はテンションコードと呼ばれます。あまり頻度は高くないので、覚えられなければ無視しても良いです。
大事なのはその度数の音までいくつかの構成音を積み上げているコードである、ということです。
オレンジ色で表記している音は、コードを演奏するときにオクターブ下げて演奏することが多いのですが、3和音のドミソと完全にぶつかる音になってしまいますね。(例えば、オクターブ離れているド・レはそこまで不協和音感がないのですが、隣り合うド・レはぶつかって聴こえます)
ミとファなんかは短2度で相性は最悪です。こういう場合には、テンション感を出したいので、ルート音の「ド」を残して、「ミ」や「ソ」は省略してしまう場合があります。例えばC11では、「ドレファソシ♭」のようにミを省略して演奏するなどですね。
④足し算の音
add9、add11 のような表記があれば、その音(9であればルート音のCに対して9度なので、オクターブ上の”レ”です)だけを足すというものです。
9(ナインス)は7(セブンス)を含めて積み上げるコードでしたが、addは単純にその単音を足すという意味です。Cadd9だとすると、「ドミソレ」です。
また、足し算があれば、引き算もあるんですが、まず目にすることはないので、無視しましょう。(omitというらしいですw)
⑤ベース音の指定
ConG のようなコードは、Cで「ドミソ」だけどベース音は「ド」じゃなくて「G」にしたいという表記になります。C/Gのようにonの変わりに「/」スラッシュを使う場合もあります。
例えば、F→C→Amというコード進行をイメージしてください。ベース音を階段状に移行させて盛り上げる雰囲気を作りたい場合などに、あえてCのベース音を「ド」ではなく「ソ」にすることで、「ファ→ソ→ラ」という階段状のベースラインを作ることができるのです。こういう用途で「on」を使います。
結局コードは何を覚えれば良いのか?
色々なコードの要素を説明しましたが、結局は①のメジャーコード、マイナーコードの3和音を覚えておけば、80点の合格点です。多くの曲のコードが読めるようになりますし、ゴチャゴチャ書いてある複雑なコードもとりあえずやり過ごせる場合が多くなります。
綺麗にハモりたいという人も、①のコードを理解して活用するだけで、多くの曲のハモりに対応できるようになります。特に③以降の複雑なコードが出てきたら無視しちゃえば良いのですww(元も子もないですがw)
4和音目はパセリ
コードの基本は3和音。ほとんどの場合、4和音目はオマケです。
例えるなら・・・
ドは、ご飯。ソは、お肉。この完全5度の揺るぎようのない響きでもう立派なご馳走です。
ミは、ソースです。長調か短調かの曲調を決定する役割であって、料理でいうメインの味付けのようなものです。醤油ベースか、塩コショウか、甘いのか、苦いのか。
ここまでの3和音で充分に立派な料理になるのです。
テンションノートや4和音目は何かというと、パセリですw
ちょっと華をもたせた演出をするために使う小道具です。無くても成立するのです。
今回は、コードについてだいぶしっかりと説明してきました。コードの構成について考え方(理論)を理解してください。今回記載したことを理解したうえでコード表を見てみると理解が深まるかもしれませんね。
ピアノなどの楽器が身近にあれば、ぜひコードを弾くことにチャレンジしてみてください。演奏していれば、どんどん感覚として身についてくるものです。
それでは、今日はこのあたりで。ばいばい。
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