和声的短音階の弱点
和声的短音階は、自然的短音階に対して導音の性質を取り戻した音階でした。
しかし、和声的短音階は6度と7度の間隔が、増2度になってしまい、今度はここが歌いづらかったり、演奏もちょっと違和感がなくもない感じになってしまう、という問題があるのです。つまり、ハーモニーとしては良いけど、いざメロディを奏でようとすると6度→7度の移行がちょっとし辛い音階になってしまっているのです。
旋律的短音階は和声的短音階の弱点を解決
そこで、この「増2度」の問題を解決するのが、旋律的短音階になります。増2度のような広い間隔をなくすとともに、導音の性質を維持して、ハーモニーもメロディも綺麗に聞こえるような音階です。
では、実際にハ短調で見てみましょう。
旋律的短音階:ハ短調(c melodic minor scale)
これまでと違って、オレンジ色のところが特殊ですね。ちなみに図の下部の長2度・短2度のガイドは、上行の場合として記載しています。
この音階は、上の音に移行するときは、ソ→ラ♮→シ♮→ド、と移行して、
逆に下ってくるときは、ド→シ♭→ラ♭→ソ、と移行する、行き帰りで音が異なる、ちょっと摩訶不思議な短音階なのです。
旋律的短音階では、和声的短音階の6度のラ♭を半音あげることによって、増2度の不安定さを解消しつつ、導音の性質を維持します。また、下行時には導音の性質はいらないため、自然的短音階と同じになります。
旋律的短音階(主音を基準に)
完全1度・長2度・短3度・完全4度・完全5度・長6度・長7度・完全8度
※下降時は、短6度・短7度
旋律的短音階は、上記のような規則の音階です。英語ではmelodic minorと言い、メロディを奏でるときも綺麗であるというニュアンスが伝わります。
では、ハ短調以外の例をあげてみます。
旋律的短音階:イ短調(a melodic minor scale)
旋律的短音階:ニ短調(d melodic minor scale)
旋律的短音階:ト短調(g melodic minor scale)
旋律的短音階は、ド~ソまでは短調、ソ~ドまでは上行時は長調と同じで、下行時は自然的短音階になります。一般の曲中では和声的短音階と並んで多く用いられる短音階です。
ぜひ、長調の簡単な曲を、この旋律的短音階にして歌ってみてください。
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